頭痛
頭痛
日常的に頭痛に悩まされている、いわゆる「頭痛もち」の方は少なくありません。つらくても「頭痛くらいで…」という思いから、医療機関を受診せず、市販薬を服薬して対処されている方も多いのが現状です。頭痛外来は、そのような頭痛に悩まれている方々のための専門窓口です。さまざまな頭痛の症状に対して、専門的な診察、検査、診断、そして薬の処方を行います。気になる頭痛、慢性的な頭痛、いつもと少し違う頭痛がある場合は、ぜひお気軽にご相談ください。
頭痛は、風邪や疲れ、長時間の集中などによって起こる日常的な症状で、ほとんどは他に原因となる病気がない「一次性頭痛」です。市販薬を服用したり、十分な睡眠をとることで自然に治ることが多く、通常はそれほど心配ありません。ただし、不適切な治療を続けると、頭痛が慢性化してしまうことがあるので注意が必要です。
一方、脳の病気などが原因となって起こる「二次性頭痛」は、くも膜下出血や脳腫瘍、髄膜炎・脳炎などの命に関わる病気が隠れていることがあるので注意が必要です。突然、これまでに経験したことのない激しい頭痛が生じたり、手足の麻痺やしびれ、けいれん、嘔吐、高熱などの症状を伴う場合は、すぐに受診することが大切です。
普段生じる頭痛の多くは一次性頭痛で、ストレスや生活習慣、姿勢などをきっかけに起こります。一次性頭痛には、片頭痛、緊張型頭痛、群発頭痛などがあり、脳周辺の血管の拡張や首まわりの筋肉の緊張による血行不良が原因となって起こると考えられています。
片頭痛は、頭の片側または両側にズキンズキンと脈打つような痛みが生じる病気で、特に女性に多く見られます。発作の前に、視覚的な「前兆」としてキラキラした光やギザギザの模様が見えることがありますが、前兆がない場合もあります。頭痛は通常4〜72時間続き、吐き気や嘔吐、光や音、匂いに対する敏感さを伴うことがあります。片頭痛は、ストレスやホルモンバランスの変化によって、三叉神経から炎症物質(CGRP:痛みの直接の原因とされているタンパク質)が放出され、硬膜(脳の表面の膜)に炎症と血管拡張が生じることで起こると考えられています。
片頭痛の治療には、頭痛発作を早く鎮めるための急性期治療と、頭痛発作を起こりにくくするための予防療法があります。近年、片頭痛の治療は大きく進歩しており、急性期治療ではこれまで主流となっていたトリプタン製剤に加えジタン製剤(レイボー)が、予防療法では高い治療効果と副作用の少なさを兼ね備えたCGRP関連抗体製剤(エムガルティ・アジョビ・アイモビーグ)が相次いで認可されました。
片頭痛は命には関わらないものの、日常生活に大きな支障を伴う疾患です。これらの薬によって、片頭痛が日常生活に及ぼす影響を最小限にとどめることが期待できます。
緊張型頭痛は、最も一般的な頭痛で、後頭部、こめかみ、ひたいを中心に、頭重感や圧迫感、締めつけられるような痛みがじわじわと続きます。眼の奥が痛くなることもあります。主な原因は筋肉の緊張や血行障害、精神的・肉体的ストレス、疲労、自律神経の乱れです。長時間の同じ姿勢、例えばデスクワークや運転などが影響し、首や肩の筋肉に負荷がかかると、血流が悪化して頭痛が引き起こされやすくなります。首こりや肩こりを感じたら、軽いストレッチを行うことで予防できます。
群発頭痛は、片側の目の奥に強烈な痛みが生じる病気で、「群発」という名前は発作が一定期間に集中して起こることに由来します。年に1~2回程度ある群発期には、1回につき15分から3時間の激しい頭痛発作が生じ、1~2カ月続きます。1日に何度も発作が起こることもあります。男性に多く見られ、発症メカニズムは完全には解明されていませんが、血管の拡張が関与していると考えられています。痛みが非常に強く、日常生活や仕事に支障をきたすことが多いため、適切な治療が必要です。症状がある場合は、速やかに頭痛専門医を受診することをお勧めします。
二次性頭痛は、他の病気が原因で起こる頭痛です。特に注意が必要な病気としては、くも膜下出血、脳腫瘍、髄膜炎・脳炎、脳梗塞、脳出血などが挙げられます。これらの病気を見逃すと命に関わることがあるため、早期の診断が重要です。
「経験したことがない突発性で強い痛みがある頭痛」、「徐々に痛みが強くなるいつもと違う頭痛」などは二次性頭痛の可能性がありますので、ためらわずに医療機関を受診してください。MRI検査などの画像検査で早期に診断がつく場合も多いです。
また、頭痛に加えて以下のような症状がある場合も、脳の病気が隠れている可能性が高いため、速やかな受診が必要です。
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